あの日の花火を君ともう一度
『あの日の花火を君ともう一度』麻沢奏
(あらすじ)律紀と付き合い始めた美緒は日記をつけ始める。日記帳の裏側を見ると、律紀の親友の洞哉と付き合っていた。"もう一つの世界"の自分とやりとりできることに気づいた美緒はもう一人の自分と交換日記を始める。
誰かの幸せは誰かを傷つけていることは往々にしてあることだ。誰かが合格していれば不合格になる人がいるように、誰かを好きな人が複数いれば恋がかなわない人が出てくるように。
人生には優先順位を決めて選択しなきゃならないことは沢山ある。違う選択をした場合のパラレルワールドの方がよく見えることもある。でどれだけ後悔しても違う選択をした自分には会えない。
美緒は結果的にまた大事な人を失うことになった。人の生死を自分の後悔をなくすために操ってはいけないと思う。でもどこかで、美緒の選択の結果の切なさと強さに心惹かれてしまうのである。