天使の卵
『天使の卵ーエンジェルス・エッグ』
『天使の梯子』
『天使の柩』 村山由佳
(あらすじ)
19歳の予備校生の歩太は8歳年上の春妃と恋に落ちる。春妃は元彼女の夏姫の姉で…。
重い。登場人物みんな不幸だ。特に茉莉かな。
可哀想とか不幸って言葉は嫌いだけども。
可哀想なんてすごく上から目線。お前何様って感じ。不幸なのは自分にとっては一番自分が不幸なんだし、幸せなのも自分にとっては自分が一番幸せだ。幸せも不幸も競争できないってこと。ただ、想像力を持ち合わせていれば共有することはできる。
さて、『天使の梯子』『天使の柩』はそれぞれ『天使の卵』の10年後、14年後の話だ。実際にほぼ同じくらいの時間が経ってから書かれているっていうのがすごいと思う。
それにしても、歩太は恋人の死をそんなに引きずってたのか(引きずることに作者は決めたのか、が正しいけど)。有川浩の『図書館戦争』の言葉を借りれば「心が振れない」のかもしれないが。それならそこまで好きになれる恋愛は羨ましいけども。
人は誰しも死ぬ。それが年齢の老齢順なら好ましい。でも、そればかりはうまくいかないことも多々ある。いずれにせよ備えることはなかなかできないだろうが、残されたものは生きる責務があるのだろう。忘れないことと後悔することは全く違う。きっと死んだ人はそれが大事な人であればあるほど、残された人に先に進んで欲しいと思っているような気がする。