ユートピア
(あらすじ)
小学一年生の久美香は交通事故で車椅子生活を送っている。陶芸家のすみれは久美香のことを知り、車椅子利用者のためのブランドを立ち上げて天使の翼のストラップを販売。そこに久美香が実は歩けるという噂が流れ…。
一番強かだったのは、彩也子だったのか。
自分より年下で、さらに車椅子という弱い者を守ることで、自分の評価が上がることを十分に分かっている。
私に似ている。自分よりヒエラルキーが低くて人見知りのために一人でいる人を狙って声をかけて友達になる、ってことをしていた。〇〇ちゃん優しいって言われるけど、本当は違う。友達がいなくて寂しいのは私の方なのに。そして、守るつもり
で守られてるのは私の方なのに。
彩也子もきっとそうだ。優等生の殻を破れば空っぽ。強かだけど、それは自分に自信がないことの裏返しだ。本当に強かなのは菜々子だろう。
人は皆、自分本意で自分勝手なのだと思う。湊かなえはそれを描くのがすごく上手いと思う。
『告白』で衝撃を受けたけど、『贖罪』とかもそうかな。