第3図書係補佐

ブログタイトルは(大好きな)又吉の『第2図書係補佐』をもじってます。

過ぎ去りし王国の城

『過ぎ去りし王国の城』宮部みゆき

(あらすじ)

真はヨーロッパの古城のスケッチを手に入れる。これは分身を描き込むと絵の世界に入り込めるスケッチだった。分身の絵を描くことになった美術部員の珠美と、漫画家アシスタントのパクさんを加え、3人でスケッチの謎にせまる。

 

小説の中に入れるとか、絵の中に入っちゃうとかいった話はよくある。そんな中、その絵を誰が何のために描いたのかを考える、そしてそれが10年前の少女の失踪事件とからめるあたり、さすが宮部みゆきだなぁと思った。

 

ずっと時を止めて安全で素敵な場所にいるのは楽だけど、人は前に進まなきゃならない。それが退化か進化か分からないけども。

私は今の生活にそれなりに満足してる。実はあの頃に戻りたいってのが全くない。それは今が幸せだからと言われればそうなのかもしれないが、あの時のああしていればというのはたくさん(人並みに?)ある。ただ、選択を変えて今とは違う世界になったとしても、そこからまた今までの人生を戻ってくるのが面倒だし疲れる。色々諦めてるし、怠惰なのだろう。

 

長ーいミステリ(『模倣犯』とか)を書かせても、ゲーム好きを公表しているからかRPGみたいなの(『ICO』とか『ブレイブストーリー』もか?)を書かせても秀逸だけど、今回は冒険あり、ミステリありって感じで一気読みしてしまった。